置き去り防止装置導入~機械(ハード)と人間(ソフト)~

送迎用バス置き去り防止装置の設置が義務化となりました。本園でも夏休み中に3台の園バスに順次取り付け、2学期から運行しています。このシステムは送迎後、エンジンを切った後、運転手が運転席から座席や座席の下を確認して歩き、バス後方のボタンを押さないと警報音が鳴るというしくみです。

昨年の9月5日に朝の送迎が終わった園バスに取り残されたまま大切な命を奪われるという事故がありました。日常的に乗車時の人員確認、降車後の保育者、運転手がダブルチェックをして、保育室でもクラスの点呼をし、いない子については保護者へ連絡すれば起こりえない事故ではあるのですが、臨時の運転手が運転をしていたり、登降園システムに頼り切っていたことなどが原因とされています。

事故当時、マスコミの映像でハンドルにおしりで座ってクラクションを鳴らす最終手段なども紹介されていましたが、子どもたちに運転席は危ないから行かないよ、と話しているので、どうしたものかと園バスを作ってくれている北海道の社長さんに9月7日の夕方に電話をして聞いて見ると、「『置き去り防止装置』っていうのがあるよ」と教えてくれたので「すぐつけて」とお願いしました。

その後、置き去り防止装置はこども家庭庁(当時の内閣府)が認めたものでないといけないことがわかり、製品の認可と取り付けの日程調整があり、約1年かかりましたが、今年の夏休みに取り付けを完了することができました。

大切な命を守るため、こうした装置:ハードは大切です。日常的に園舎、園庭、遊具の安全点検を実施し、補修箇所がないか、必要な修繕をしているかの取り組みをしています。しかし、時にチェックリストは形骸化する可能性もあります。

ハードに加えソフトが充実していないと形骸化は起こります。ここでいうソフトとは保育者一人ひとりの気づきやその気づきを共有し合意形成していく過程です。一人が気づいても言葉に出さなければ運営に反映されないし、その言葉を私ごと、私たちのこととしてとらえ、当事者意識を持ち保育者集団として意思疎通、連携が図られなければなりません。

そのために重要なのは先生同士が仲が良いこと。気づいてもらえる、何でも言える、聴いてくれる。話し合える、笑い合える、、、。簡単なようでいてとても難しい。一人ひとりの保育者の感じ方も考え方も違うからです。そうした多様性を認めつつ、チームの一員としてそれぞれの役割を務める。そんな保育者集団に育ってきたと思っています。

夏休み中にボクと真里先生は一人ひとりの先生と1学期のふり返りと2学期につなげる話を聴きました。一人ひとり視点が違うという素晴らしさに出会い、話の中で考えてここはこうしたら、私はこう思っているなど前向きなアイディア、提案、心配なことをたくさんいただきました。

それらをみんなで一緒に考えて、最適な保育を導き出す保育者集団。子どもたちはその姿を見ながら子どもの社会でも友だちの話を聴く、自分の思いを伝える、お互いの思いをすり合わせながら自らの日常をつくっていく、、、。そんな2学期のはじまりです。2学期もどうぞよろしくおねがいします。

園長 西山俊太郎