いつまでも たいせつな たからもの

 

この1ヶ月は、季節はずれの暑さ、秋の豊かさそして先週末からの冷え込みへと移ろう季節を直に感じます。幼稚園もそれに合わさるかのように、樹木の香り、稲や栗・柿の実り、落ち葉の色や手触り・音、雪の富士山や真っ赤な夕焼けの美しさ、日だまりの暖かさなど、子どもたちそれぞれが自然を感じ楽しみ、遊びも活発になり、生き生きしています。

先日、「くらし」という視点で保育について勉強する機会がありました。そのうちの1コマで課題「私の思い出の歌」について、受講者同士発表し合いました。

私にとって思い出の歌といえば、幼少期に家族で楽しんだ『あめふりくまのこ』がすぐに思い浮かびます。父がレコードプレーヤーをだすと、ワクワクして自然にそのまわりを姉妹・父母も一緒に囲い、針を置くとくるくる回りながら音がでるソノシートと『うたのえほん』の絵・歌詞を眺めては姉妹でよく歌を歌っていました。
なぜ、思い出の歌なのかを考えると、
・曲の音:同じ曲を何度も聴き、その度に歌う楽しさを繰り返したことで、聴き馴染んだうたのおねえさんの歌声、伴奏のピアノのテンポ・音が私の感性(私好みの感覚)として身についたように思います。
・家族の光景:家族で過ごすことが当たり前の生活でした。歌も家族のくらしの中に入り込んでいたのが、実家に何十年も残されていたたくさんのソノシートからもわかります。
・曲を聴いた空間:‘こたつの部屋’。テレビの部屋もありましたが、なぜかこたつの部屋と呼ぶ和室が、結婚し実家に帰省しても、皆が自然と集まる心地よい部屋でした。
・時間の経過:60年近く前に作られた曲が今も幼稚園で歌い継がれていることだけでも感動であり、幼稚園で子どもの歌声を聞く度に、私の55年前の暮らしがいつでも頭に浮かぶ幸せを感じ、私の大事なよりどころになっています。

思い出の歌を思うと、自分の幼い頃のことだけでなく、我が子・孫のこと、家族のこと、幼稚園のことまで、過去から現在、未来へといろいろな思いが溢れ出てきます。歌は、時が流れても、どんな気持ちの時でもいつもそばにあるのですね。まっすぐなまなざしの子どもたちと過ごすことで、交わした言葉やその繰り返しのリズムが心地よい音になり心が響き合いみんなの嬉しさになっていく日々のくらしを大切にしていきたいと思います。

孫に聴かせたくてレコードプレーヤーを買い、その日はじっとくるくる回るシートを見つめ聴いていましたが、「もう1回!」はなかったです。。。
いつか保護者の方にも昔懐かしいソノシートで童謡を聴いていただきたいです。

今日ははっぴょう会の衣装を持ち帰り、来週半ばにはホールに舞台もできます。子どもたちの目の輝きはとどまりません。そのまなざしが明日に向かう力になりますように。

副園長 西山真里