アンパンマン号の鼻の内側で

梅雨明けが早まり毎日屋上では水遊び、園庭でもホースで水浴びをし、水しぶきが光にあたってきらきらきれいです。
先日の外遊びでのこと、アンパンマン号のチェーンを外側から揺らし中をのぞきながら「わぁー」と声を出しているAくんがいました。Bくんが大きなシャベルに泥をたくさんのせてアンパンマン号の中に入ろうとしていました。AくんはBくんをみて、「わぁー、もう先生に言っちゃう、やだー」と言葉を足していきます。どうやらBくんがアンパンマン号の内側の鼻のへこみ(外側は膨らんでいますが内側はぽっこりへこんでいます)にシャベルの泥をのせようとするのを嫌がっているようです。近くにいた私は先生はここにいるんだけどな、と思いながらそっと見守ることにしました。はしご側に回って中に入り「(へこみが)よごれちゃう。うわー」と泣き出したAくん。ところが、Bくんがそれを横目で見た瞬間、手元が揺れてシャベルが傾き、泥がザーとへこみに落ちて山になりました。一瞬「あっ」と静かな「間」。そしてその瞬間を目にしたAくんはぴたっと泣き止み、「アンパンマンのお鼻みたい!踏んじゃお!いいこと思いついた!あれ(新しい砂場のおもちゃの水車)もってくる!じゃーん!」と、水車に泥を落とし始め「アンパンマン号きれいにしようよ。なんか、発車したみたい!」エンジンが回ったようにみえたのか、二人で笑いながら遊び始めました。

実況中継のようになってしまいましたが、泥でへこみが汚れるかもしれないと目に見えないことに心配なAくん。でも、目の前にザーと泥が落ちたことでその思いに一瞬の「間」が生まれ、今度は目に見える泥で面白い発見をして、安心して遊び始める姿。Bくんも一人でただ泥を運びたかっただけなのかもしれませんが、思わぬ出来事から2人一緒に現象を楽しみました。

友だちとどう関わるか、どう折り合うことができるか、ということではなく、AくんBくんそれぞれのやりたいこと・やりたくないこと・その思いが食い違った時に感じる不安や葛藤が思いもよらないコトで新たな面白い遊び・思いが生まれているのです。自分たちでその充実感を新たに創っていけることはすばらしいです。普段のくらしの中で、子どもの思いと行為が行き来するその「間」に何が生まれるのかを意識すると、子どもが自分らしく生きようとするパワーが見えてくるように思います。6月は子どもたちの遊びもバザーの準備も一気に活発になり、感じること考えること表現したいことがたくさんでした。「あっ」「あれ?」という一瞬の「間」を逃さずこれからも楽しんでいきたいと思います。

先週から七夕の笹が園内に飾られ、おまじない(お願いごと)のやつ?と聞く子もいました。子どもたちのかわいらしい願いごとがかないますように。そして「ゆりかご会の皆さんが力を合わせてがんばっているバザー、楽しい一日になりますように!!」

副園長 西山真里