~ゆりかご会というパートナー~

『PTAのアウトソーシング』という記事がボクの中で今年の10大ニュースにランクインしました。働く女性が増える中で小中学校のPTA活動自体が成り立たなくなってきていて、役員決めや委員決め、不要な(?)活動に悶々とする日々がストレスになっているからです。また、昭和の仕組みなので今果たして必要なのかを考えたときに、いっそのこと外注した方が合理的・効率的なのではという考えが出てくる時代になったのだと思います。

峯岡幼稚園は創立以来、『ゆりかご会』という保護者の組織があり、クラス役員を中心に、バザーや運動会、ベルマーク委員等とボランティアで支えられてきました。いわゆる「母の会」がなくなり始めている園もある中、峯岡幼稚園のクラス役員は立候補が多く子どもたちの育ちに一番近い保護者チームとして機能してきました。

先日、ゆりかご役員と卒園児の保護者の方と園でお話しする機会がありました。
そこで、今後のゆりかご会活動について相談を受けました。働く女性が増えたこと、その中でどう活動内容と時間の調整をしたらよいか、保護者の就労にかかわらずゆりかご会活動に対して温度差があること、気持ちのある方々にボランティアのしくみをどう整備したらよいか、ゆりかご会は小学校のPTAと違い子どもの園生活をダイレクトに実感できる、、、などこれまで保護者として携わってくれた皆さんから貴重なお話をいただきました。

お話を伺って、ゆりかご会活動の継続のためにいくつかのヒントに気づきました。
【仕事があっても参加できる】
働く女性が増えたことを背景に、連日幼稚園に足を運びバザーの準備をすることはできにくいと思います。バザーの内容を改め、園に来る回数も検討する。運動会も年々スリム化し、LINE等での役割分担や情報共有をし、当日だけの参加にできないかなどが検討課題になってきます。働くお母さん向けにベルマークや寄せ書き委員などを組織していましたが、ベルマークの協賛企業が減少していく中で、『ウェブベルマーク』への移行も検討できるのではないかと思います。

【得意分野を生かし1年を通じて】
例えばおゆうぎ会の衣装づくりでは生地の裁断をしていただいたり、ミシンで縫製をするボランティアさんが活躍しています。また、今年から『エプロンの会』という卒園児のお母様方を中心にバザーの手作り品のボランティア活動が行われています。『おかんの会』という卒園児のお母様の会も毎年、バザーのためにマスコットを制作しています。これまでのバザー開催まで2ヶ月という短期決戦から、1年を通じてできる人が無理なく携われる仕組みを整えていくことができたらと思います。

【「子どものため」には「自分のため」「地域・社会のため」】
先日、園が所属する自治会で『秋の味覚祭り』が開催されました。サンマ300匹と、芋煮汁300杯をつくって地域の皆様に振る舞ったのですが、そこで運営スタッフを務めたのが全員峯岡幼稚園卒園児の父です。 その前日、オープンスクール後に買い出しにつき合ってくれたお父様がいました。車の中で仕事と家庭以外に自分が地域や子どもたちとかかわるって充実してるよね!ってそんな話で盛り上がりました。今はそんな暇はない、っている人もいるでしょう。でも、サンマを食べていつかは自分もという気持ちが育つかも知れません。僕たちは地域で年を重ねていく、そこに仲間がいることは大切かと。
「一緒に子育てしましょう」は峯岡幼稚園が大切にしてきたことです。保護者が園の言いなりになる時代ではなく、対話をしながら子育て環境を整えていくという意味ですが、ゆりかご会活動については組み替えが必要です。効率化や合理化は大切ですが、子どもの育つ環境にはそもそもたくさんの無駄がある、試行錯誤しながらよりよいものを創造していく機会なのかなと思います。

みんな「一緒に子育てしたい」気持ちを持っている、「できる人ができることをできるだけ」が集まる『この指止まれ方式』の会に生まれ変わることを期待しています。

先日の懇談会でもお話しがあったと思いますが、下記に、ゆりかご会から具体的な提案があります。峯岡幼稚園へ通われる保護者の皆様に伝えたい想いがありますので、ぜひご一読ください。

【ゆりかご会から】
 保護者の皆様、いつもゆりかご会の活動にご理解ご協力をいただき、ありがとうございます。先日の懇談会でゆりかご役員からお話しさせて頂きましたが、懇談会に欠席された保護者の方もいらっしゃいますので、この場をお借りしています。

 4月からスタートした令和4年度ゆりかご会ですが、これまで委員の皆様にはたくさんのご協力を頂きました。バザー委員さんは短い期間の中、本当にありがとうございました。運動会委員さんにおかれましては、併せて活動をお願いしている寄せ書き委員さんの活動が現在行われる最中です。ありがとうございます。ベルマーク委員さんの集まりも一年を通して年度末まで行われます。長い期間ではありますが、丁寧に作業してくださり、ありがとうございます。

 皆様のご協力で成り立つゆりかご会ですが、この『委員活動』という形が、どうしても保護者の負担になってしまうことが、ここ数年を振り返ってみても、それは明らかな現実でした。皆様それぞれのご事情があり、参加が難しい方に委員活動をお願いする事への心苦しさ、そしてこの負担を改善したいという気持ちを、ゆりかご役員と園長先生、まり先生でお話しする場を設けました。

 そこで、提案させて頂いたことは『全ての委員活動を廃止し、全ての委員活動を、ボランティアで募り、運営していく』です。そして、ゆりかご役員という活動においても、エプロンの会とおやじの会の力を借りて、役員の負担を軽減する。ゆりかご会にとっても、峯岡幼稚園にとっても、未知なる新たな試みです。

昨今の状況を鑑みると、働く人の割合が大幅に増えました。働く以外にもたくさんのことを抱えながら、頑張って子育てをしている日々です。現代の保護者の皆様にとって、『負担が少ない中でも、関わりを持てる園生活』とは、どういう形がよいのだろう?というところを模索すると、負担=委員活動。

 ならば『委員活動を無くす』ということにたどり着きます。そして、出来る範囲で関わりを持ちたい気持ちに寄り添う=出来る人を募り活動するボランティアという解が導き出されます。今回のバザーアンケートも参考にさせて頂き、保護者の方にとってもより楽しく、負担が少なく、子どもを峯岡幼稚園に通わせてもらいたい…
そんな想いで話し合いをおこないました。

 園長先生がおっしゃっている『この指止まれ方式』を取り入れ、《やってみて良かった!》と思える形になるよう、まだまだ話し合いが必要になる提案ではありますが、ゆりかご会役員と峯岡幼稚園の先生方と共に、よりよい園生活が送れるよう話し合いを重ねて行きたいと思い、ゆりかご会からこの場をお借りして、保護者の皆様にご提案させて頂きます。また詳細が決まり次第、ゆりかごだより等で随時お伝えさせて頂きます。

【ゆりかご会役員会を受けて】
先週、役員会がありました。いただいたご意見をまとめると、、、ボランティアにすると役員さんの負担が大きくなるのではないか?役員の人数は?この指にとまってくれる人は何人いるか?SNS等の活用でスムーズな運営ができるのでは?そもそもゆりかご会(保護者)は思いを持つ人で構成されているから大丈夫?

幼稚園とゆりかご会は車の両輪です。ゆりかご会の車輪が幼稚園の車輪に巻き込まれることなく独立性を保ち、2つの車輪で右に寄ったり左に寄ったりバランスを保ちながら前に進んで行ければという願いを持っています。

ゆりかご会での提案を受けて、新たなゆりかご会のあり方について模索していきたいと思います。お互いの当事者意識で会がいい方向に向かいますように。

・・・最後になりますが、今年一年もコロナ禍での幼稚園運営となりました。保護者様、ご家族の皆様にもたくさんのご理解とご協力をいただきありがとうございました。
いろいろあった1年でしたが、子どもたち、先生たち、保護者様の思いが集まって、楽しく過ごすことができました。幼稚園は生きものなのでそれぞれの思いを汲みとりながら育てていただいています。そんな場所であり続けられるよう・・・そんな願いを込めながら・・・
それでは皆様、良いお年をお迎えください。

園長 西山俊太郎