対話を通じて共に生きること~相手をリスペクトすること

令和5年4月1日からこども家庭庁が設置され、こども基本法が施行されました。
昨年の子どもの出生数が80万人を割り込み、将来の日本の国づくりに暗雲が立ちこめています。政府は異次元の少子化対策と言って様々な施策を提案し始めています。子どもに視点をあてるとこども基本法にもあるように「すべてのこどもが幸せな生活を送ることができる社会をめざす」ものです。こども施策には「おとなになるまでの心や身体の成長をサポートすること」(居場所づくりやいじめ対策など)、「子育てをする人たちへのサポートをすること」(働きながら子育てしやすい環境づくりや相談窓口の設置など)があります。

学校法人峰岡学園は認定こども園(峯岡幼稚園)と保育所(三丁目こども園)を運営しています。保育園の中には夜20時まで開園し、夕食も提供するところや日曜祝日も保育をするところもあります。「働きながら子育てしやすい環境」は整ってきていますが、一方で「こどもはいつ家族で食事をするのだろう」「子ども・子育て支援法には保護者が第一義的責任を有するってあるのに」という声も聞きます。現在の働き方や個別の事情もあるのですぐに解決は難しいと思います。ただ、園の理念である「家族が幸せになる幼稚園」をめざす時に、子どもも大人もそれぞれの事情を抱えながらも相手に尊敬の念を持って対話をしていくことで最適解が得られるのではないでしょうか。スパッと正解が得られずモヤモヤの中にいますが、今年度の新たな体制でのバザーのように一緒にあれこれ考えて運営できればと思うので、園の運営についてもいろいろな声をお寄せいただけたらと思います。

今週3日間に渡り、学年ごとにクラスとたんぽぽくらぶの様子を伝え合い、共有する時間を持ちました。この2,3週間のクラスの雰囲気をはじめ、子どもとのやりとり、排泄や食事、持病など細かな部分に至るまで一人ひとりの状況を伝える各担任・担当の子どもへの理解と個々に配慮すべき点の発言があり、短期間での把握する力に頭が下がる思いでした。かつては、30人を超える子どもを1人で担任をし、一斉一律の保育を「こなす」ことがいいとされていた時代がありました。保育者の声かけの要素は「指示・命令・禁止」がメインでした。そうしていかないと一人ではみきれなかったのです。しかし「すべてのこどもが幸せな生活を送る」ためには、大人が「受容・共感・提案」の要素で接することが必要で、子どもが「分かってもらえている」という安心感を持ち、生活できるよう心がけてきました。チームとして複数でかかわり、葛藤を抱えながら教育・保育活動にあたる4月でした。

「すべてのこどもが幸せな生活を送る」ということは差別されたり区別されたりしないということです。ご存じのように、峯岡幼稚園にはいろいろな子が在籍しています。様々なご事情を抱えた保護者様と一緒に子育てをしています。年齢も経験も立場も異なる保育者が従事しています。うちの先生たちの素敵なところは心から「子どもがかわいい」と思って接していることです。保育後の職員室では今日あったことを嬉しそうに話す姿があります。クラスは『まとめる』のではなく『まとまる』ものです。一人ひとり、何が好きなんだろう、どういうことが嫌なのかな、と思いを巡らせながらその個々の持ち味がクラス全体に広がり『まとまって』いくようにじっくり丁寧にかかわっていきます。

最後にお母さん・お父さん、1ヶ月お疲れ様でした。保護者様にとっても新生活に慣れていくのに大変だったかと思います。「なんでこうなるの」 「今日は泣かずにバイバイできた」とお子様のことで一喜一憂。疲れたら休むことも必要ですがなかなかそうもできない実情もあるかと思います。でも、悩んじゃったら是非うちの先生たちご相談ください。最適解を一緒に考えられる職員が揃っています。1年間、どうぞよろしくお願いします。

園長 西山俊太郎